帰り道がわからなくなってしまいそう
昔は、帰る場所があった。
暖かくて、ほっとして、ずっと安心のできる、そんな場所。
いつしか、私が死んで
帰る場所があるのだとしたら
昔幸せだった、あの場所に帰りたい
小学生の頃から思ってた。
しかし、時は残酷で
体が大きくなり、中学生になってからは
人が信用できなくなり、ますます外の世界が怖くなる
いっそ、もうこんな場所から抜け出して
あの場所に住みたいな
誰も私の知らない場所でゆったりと暮らしたい。
そう思っていたのももう昔。
長らく、私の学生時代…
中高生の時代は死ぬことばかり考えてて
死ぬこと=救済と考えていた
あの頃に戻りたいな、なんて幻想を抱いて
でも、いつからかな
私には帰る場所がないんじゃないかって思い始めたのは
少しずつ気付き始めた。
元々家庭環境は恵まれているとは思ってなかったけど
私が大人になって、一人で生きていけるぐらいになったら
母親はもとの家に帰るんだろうなって
父親の家庭は古風な伝統が受け継がれているのか
男尊女卑が根付いていて
どうにも私はそこに居られない、居たくない
自分の今いる居場所が忌々しく感じて、
早くあの場所に帰りたいと思っていたのに
そこは、恐らく私の本当の帰る場所ではないのかもしれない
楽しかったのはあの頃だけだったのかなって虚しくなって
どの道私は一人で生きていけるぐらいには強くならなくてはいけなくて。
帰り道がわからない
帰る場所がないって気付いたから
高校生の頃に、気付き始めて
でも受け入れたくなくて、認めたくなくて
頑張れば、理想に適う人物像になればって
勉強して、働いて、稼いで、明るくて、優しくて
いつもにこにこしてて
だって、そうすれば
私のこと受け入れてくれるでしょって
でも、それは結局意味がなかった
全部無駄だった
無駄か無駄じゃないかは自分で決めると言っている私が言う。こればっかりは全て無駄だった。帰る場所を守りたいばかりに偽ってでも良い娘、良い孫を演じてた
駄目だった
最初から私に帰る場所はなかった
凍えるような環境だったから
だからこそ、無償に私の事を
大好きだって言ってくれる仲間や人がほしくて
無意味に恋人も作って、高校時代の友人との友情にすがって、大学一年の頃はかなり自分の意思が横暴だった。
大事にしてくれる人は知っている、つもりだった
でも、寂しくて、物足りなくて、
真実に触れてしまったら
戻れなくなる。それを恐れて。
どうしたらいいのかわからなかった。
私を見てほしかった。
強くなる私を、成長する私を
笑う私を
素敵だねって言って
凄いねって言ってくれて
ほほえましい、あたたかい場所で
そんな夢をみていた
叶うはずがなかった
私の家庭環境は共依存から成り立っていた
残された者同士で助け合う
これが見事にねじれてしまっている
父親の場所も母親の場所も
どこにも私は行けない
帰る場所が、どこにもない
私は、一人で生きていくための能力を身に付けなければいけない
そう思ってからはすぐだった
あの人に出会ったのは。
九州の方から遥々上京し、今では東京で一人暮らしをしながらばりばり働いている賢くて強い、逞しい女性。凛としたような綺麗な人。
一瞬であこがれた。
具体的にどう惹かれたのかを気付くのはかなり時間がかかったが
魅了しかない
私は、あの人のように強い人になりたい
一人でも生きていけるような
強くて、かっこよくて、聡明な人
その頃から私は、帰る場所という概念から乖離した。
自分のためだけの勉強、行動をはじめ、お金を稼ぐことも減らした。自分に向き合う時間がほしかった。とにかく、自分だけの行いを中心とした。
お金も無駄にしてしまう時もあった。これもまた勉強。
それからは色々な人に出会って、世界をみて
「帰る場所」がなくなることに怯えなくなった
丁度その頃に生まれたのが「黒咲ぽぽ」
今では、広い将来の事を考えながら就職活動をしている。
素敵な仲間に出会えたから。
強くなりたい、明確な理由・本心が見えてきたから
さりとて、家族や身内のことを蔑ろにするわけではない。
家はあるし、ご飯にも寝る場所にも困らない
普通の家で暮らしている。
もう、親や親族を人としてみることはなくなってしまったけど
切っても切れないからね
繋がりは意識するつもりでいるよ
誰もが驚く、強い人になるから
私はもう、死を救済なんて思わないよ
自分の道は自分で見つける
凍えるような呪いは
ちゃんと、ほどいたよ
…でも、本当はね
私にだって帰る場所はほしかったな
「一人で生きていけるよね」
なんて言ってほしくなかったな
あの人でさえ帰る場所はあるのに
求めてしまうから、恋人は作りたくないけど
将来、「おかえり」って言って迎えてくれるような
そんな、帰る場所をずっと夢見て
今でもほしかった…て、思ってしまっている
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